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記忘記 note/off note 2017-04-11



三村恭子さんのこと

昨日久々に高円寺円盤で歌手・三村京子さんに会う。三村さんとの最初の出会いは2005年、同じ円盤でのイベントのとき、彼女はまだ早稲田の学生だった。彼女の唄が醸す独特な世界に非凡な才能の閃きを感じたが、まだ背伸びしているように見えた。たとえるなら、経験の乏しい新進女優がちょっぴり手の届かない大人の役柄を演じているようなぎこちなさと言えばいいか。ありあまる才能に身体が追いついていかない、そんな感じ。要するに唄が板についてなかったのだ。とまれ、その夜をきっかけにすこしずつ交流が始まった。オフノートのツアーにも何度か参加してもらい、名古屋、京都、沖縄を一緒に旅したことはいまでもいい思い出だ。あれからもう10年以上も経つのか。その後、彼女の音楽活動は断続的だったようだが、2015年暮にリリースされた5年振りの第4作『いまのブルース』は、等身大の三村京子がそこにいて心に染みた。言葉の一つひとつが丁寧に磨き抜かれ、それを表現へ換える感性も共に研ぎ澄まされてぴかぴか輝いていた。ようやく才能が下のほうへ下りてきた、いい時間の重ね方をしているな、そう思った。久々に会った三村さんの元気そうな様子を見て、これからいつまでもずっとうたいつづけてほしい、心の中でそっとねがった。

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