記忘記 note/off note 2015-06-08
NOTES OF PAN-EURASIAN HARMOLODICS
店頭に「GUIDE OF SYNCRETISM 混淆音楽入門」と「SKETCHES OF AKABANA 幻視の中のオキナワ」、二つの特集を組んでみました。
前者はオフノートカタログよりジンタとチンドン、和洋東西混淆音楽をモチーフにした作品を4アイテムご紹介いたします。ジンタとチンドンはそれぞれ、この国の大衆音楽成立時における西洋舶来音楽の身体的受容の二つの方向性を指し示しているように思います。すなわち、ジンタは西洋音楽に範を求めながら謀らずも永年身体に染み付いた音の記憶、手癖が滲み出し異化作用を起こしてなった偶発的音楽であり、チンドンは身体に堆積された邦楽の律呂に西洋音楽のインパクトを重ねてなった和魂洋才的音楽と申せましょうか。たとえるならハヤシライスのごときジンタとカツ丼のようなチンドンと。とまれ、いずれも和洋東西混淆の大衆音楽であることは変わりません。わたしたちはこの国の近代大衆音楽事始めに措かれたこの二つの試行を現在に継続したいと思いたちました。そのささやかな持続の志がここに紹介する四作品です。
そして後者はオフノートの母胎となった沖縄音楽専門レーベル「ディスクアカバナー」カタログより八作品を選んでご紹介します。オキナワを「ローカル」「地域性」という軛から解放し、島うたを同時代における「漂白する音楽」として捉え直すことで、オキナワ音楽身中深く沈められた記憶、「汎ユーラシア音楽」「環太平洋音楽」としての大きな可能性を示唆し内発しようとしたわたしたちの小さなちいさな音楽の冒険をどうぞご確認くださいますよう。
この二つの特集に表れた音楽はいずれも未だ道半ば、さらなる飛躍を遂げるべく皆様のお力添えで大空を自由に天翔け四海を自在に飛越する万能の翼を賜われましたら幸甚です。(店主)
2015-06-08 09:26