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記忘記 note/off note 2018-08-16


MEMO 無言歌 2018[付記]
思い出した、『無言歌』のこぼれ話ひとつ。小山彰太さんがドラムソロをはじめるきっかけの一つが原田依幸さんの言葉ではなかったか、と。当時、彰太さんは原田依幸ユニットの一員だったがライブが終わるたび、原田さんはメンバーと酒を酌み交わしながらこう言ったものだ。「一人でできないヤツはウチのバンドにはいらねえ。できるだけソロライブをやれ」。むろん、探れば他の動機も種々あろうけれども、実際にその場にいてこの一言が小山彰太に与えた影響は大きかったのではないかと愚考する。当の原田ユニットはと言えば基本カルテットなのだが、ライブの際はメンバーの誰かが体調不良やスケジュールが重なって欠けようとお構いなしにトリオでも、ときにはデュオでも演奏されていったのだから可笑しい。そこには、所詮人間は一人なのだという原田の自戒のような決意のようなものが込められているように思うのである。そうさ、人間生まれときも一人なら死ぬときも一人よ。
とまれ、彰太さんはその頃から積極的にソロライブをおこなうようになった。そんな一つに録音を頼まれて小さなDATレコーダー一台持って馳せ参じたときのことだ(結局、わたしの録音は採用されることはなかったけれとも)。場所はいまはなくなった市川りぶる、客は数人程度だったことはよく憶えている。休憩を挟み前後80分程度の入魂のソロパフォーマンスを終えた彰太さんはわたしに近寄ってこう言ったことだった。「ソロってのは難しいね。たった一つでも誰かの音があると次のきっかけになるんだけど、それがないとどうにもならない」。わたしはおもった。ほんとうだろうか。シャイな彰太さんの照れ隠しではないのか。彰太さんは演奏を通じて、先に逝った武田和命さんや板谷博さんらの霊と交感し、お世話になった新所沢スワン初代ママ・岡田知子さんらの魂魄と語らっていたにちがいないのだ。誰かの声や音を聴いていなければたった一人であんな長丁場の演奏に耐え得るはずがないし、なによりも変幻自在な音の流れを持続できようはずがないではないか。そう、人間生まれときも一人なら死ぬときも一人、だが、生きて在る間はせめて束の間の魂の連帯を、心弱くもそうおもうのである。

あの夜のライブから数年経って市川りぶる主人・須田美和さんもまた帰らぬ人となった。あの夜、須田さんはどんな気持ちで小山彰太さんのドラムソロを聴いていたのだろうか…。







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