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記忘記 note/off note 2018-08-17




MEMO IKAWU 2018

1991年にリリースされた本作はぼくが今日まで曲がりなりにも音楽制作に携わるきっかけをつくってくれた作品だ。いまも似たようなものだけれど、当時のぼくは正真正銘ズブの素人だったのだから。いまふりかえってみても音楽監督・佐原一哉さんはじめ、たくさんのプロフェッショナルたちが素人のぼくらに惜しまず力を貸してくれたことにまず驚くし、それにもまして感謝の念は尽きない。それも偏にネーネーズの「声」の魔法が人の心を瞬時に惹きつけ慰藉し虜にしてやまなかったからではないかとおもう。
ネーネーズ結成前の1988年暮、知名定男(本作プロデューサー)さんに紹介されて古謝美佐子さんの歌声にはじめて接したときの痺れるような感動と昂奮はいまでも忘れられない。むろん、沖縄を代表する女流歌人として大輪の花を見事に咲かせ切った現在の姿は予想だにしていなかったけれども、「大器」の片鱗はすでにこのときから漂わせていたのだ。早速その夜の内に古謝美佐子を中心とした島うた女声コーラスグループ結成の話がまとまったのだから、そのインパクトの甚大さたるや計り知れないものがあったと言っていい。
それからというもの、素人集団のぼくたちは何もわからぬまま「音楽制作」という未知の領域に闇雲に突っ込み、ひたすら悪戦苦闘を繰り返していったのである。さまざまな紆余曲折を経て、古謝美佐子を中心に、宮里康子、宮里奈美子、比屋根幸乃、4人のオリジナルメンバーが固まり、揃ってスタジオ入りできたときは真底ホッとしたし、心底うれしかった。4人が並んでマイクの前に立ってアカペラで歌い出した瞬間、俄に魂は震え出し不覚にも涙がこぼれ落ちた。古謝美佐子一人の声も感動的だったけれども、それをも凌駕する大きな感動が五体をまるごと包んだ。声量も声質も異なる4つの声の凸凹が重なったときのエクスタシー。この声の重畳こそ、南島の風と空と海を包括する宇宙の「ざわめき」であり、祖から子へつたえられた記憶を喚起する物語装置であり、森羅万象が渾然一体となった霊肉の複合体なのである。同時にそれは「未来圏から吹いて来る透明な清潔な風」でもある。そう、ネーネーズは4つの歌声をひとつに聴かせることで、急速に喪おうとしているオキナワの「元姿」初原の風景を不可避の時間の流れのなかからかろうじて救い出してくれたのではなかったか。リリースから四半世紀あまりを経たいまも、本作はけっして古びない。なぜなら、本作を貫くものが「祖たちの声」であり「未来からの風」だからなのである。

2018.8.17


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