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記忘記 note/off note 2017-02-24



島美らさ/古謝美佐子
SHIMAJURASA / KOJA MISAKO 
(Disc Akabana / ASCD-2002)

古謝美佐子さんとはじめてお会いしたのは1988年暮れだったか、当時知名定男さんがコザ・高原交差点そばで経営していた民謡スナック『島唄』でのことだ。本場の島うたが聴きたくて、わたしは友人4人と誘い合わせて沖縄を訪れたのだった。70年代、沖縄音楽は竹中労の孤軍奮闘により圧倒的質量で本土に紹介されたものの急速に忘れ去られ、この頃になると身近で沖縄島うたの魅力を語るものは皆無だった。本土から島うたを求めてやってきた酔狂な若者たちに活きのいいうたを聴かせてやろうという配慮だったろう。知名さんに電話で呼び出され、古謝美佐子さんは前川守賢さんと一緒にやって来た。ちなみに前川さんは通称ゲンちゃん、唄三絃はもちろん、作詞作曲、芝居、司会までこなす若手マルチタレントで地元メディアで絶大な人気を博していた。二人はわたしたちが何ものかもわからず、知名さんに促されるまま、数曲うたってくれた。「安波節」だったとおもう、古謝さんの一声を聴いただけでわたしたちはすっかり痺れてしまった。ファーストコンタクトのインパクトがネーネーズ結成にリンクしているのは紛れもない。このときを契機に、知名定男さんを中心にしたわたしたちの島うた運動は始動する。90年、ネーネーズ結成を画策し、ディスクアカバナーを立ち上げる。口はばったいが、ネーネーズはりんけんバンドと共に本土における「ウチナーポップ」ブームの火付け役になったといまでも自負している。記念すべき第一作『IKAWU』をリリースした瞬間、あっという間にネーネーズはわたしたちの手の届かぬところまで滑走していってしまっただろう。ネーネーズを取り巻く喧噪のなかでわたしはおもった、「ネーネーズもいい、けれど、古謝美佐子個人の唄をもっと聴いてみたい」と。そんなやむにやまれぬ想いで制作したのが本作である。現在、古謝さんは自身の類稀な唄者の可能性を見事に開花させ、琉球歌謡界にあって持ち前のカリスマを発揮し、大輪のごとく咲き誇っている。四半世紀前に制作された本作は大輪の片鱗は窺えるものの「習作」の域を脱してはいない。巷間、古謝さん本人が本作を「不満に思っている」と聞く。それはよく知っている。本人からも直接理由を聞いた。そう言えば、彼女は録音のときに風邪をひいていたな。当時、人間関係にも大きな葛藤があったようだ。録音テープは唄と一緒にそのときのコンディション不調のみならず、揺れる心情までプリントしてしまったのかもしれぬ。だがこれも一期一会、『島美らさ』このアルバムに刻印された唄の数々が出会いの音楽であることは疑い得ない。「童神」の神懸かり的絶唱は優しく心を包み烈しく魂を揺さぶる。だが、わたしはここに記録された春待つ蕾のような可憐な唄声を愛す。この唄声を聴くとき、いつでも「島うた運動」の初志に立返ることができるのだ。

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