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記忘記 note/off note 2017-03-17



リライアブル・フィクション/へぼ詩人の蜂蜜酒(off note / on-2)

本作は『ウチナージンタ / 大工哲弘』に続くオフノート第二弾として95年に発売された。オフノート発足にあたっては、ある程度の運転資金をむりくり調達したもののわたしの僅かな蓄えなど、数アイテム制作するうちに泡のごとく瞬く間にきれいさっぱり消え失せてしまった。当時はデジタル前夜、アナログ機材でのスタジオワークは未だアマチュアのものではなかっただろう。アナログからデジタルへメディアが劇的に転換する過度期に制作された本作にも「時代相」はくっきりと刻印されているはずである。わたしの財布の中身を急激に擦り減らした本録音には個人的な感情も柵むが20年の歳月がすべてを濾過して、いまではいい思い出である。
時を隔ててわたしは本作の惹句を「けっしてヒットチャートには登場しないうひとつのポップス」と綴った。だが、この言い方はひどく安直で曖昧なもののように思える。翻って考えるに、「ポップス」がソングフォーマットの謂いでないとするなら、その本質は名辞通り「大衆」と共にあるからだ。そう、大衆の真情と身体に劇しくインスパイアしないかぎり「ポップス」とは呼べまい。そして、ヒットチャートとは大衆(大勢)の欲求を映す鏡として存するのだろう。かりそめにも「ポップス」を標榜するからには大衆の心に憑依し、瞬時に虜するデーモニッシュなマジックが求められて当然。しかし、本作であらわされた音楽は「ポップス」の与件を孕みながら現象としては未然のままであり、「批評音楽」に留まっているかのようだ。だからといって、本作を「ポップスではない」と切り棄てることもできないはずである。なぜなら、本作はアナログからデジタルの移行期に構想され、「大衆不在」の時代を予見した転型期の産物なのだから。ゆえに本作は制作から20年経ったいまも、巷にあふれる愚にもつかぬ痴言や稚語を並べたJ-POPや末梢神経だけをやたら刺激する偽ダンスミュージックの欺瞞と向き合ってひたすら凝視し続けるのだ。信なき神話時代の「たしかなおとぎばなし」「リアルな魔法」として。(2017.3.17)

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