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AUR-16 日本禁歌集3 沖縄春歌集 海のチンボーラー/嘉手苅林昌 山里勇吉 他 


日本禁歌集3 沖縄春歌集 海のチンボーラー/嘉手苅林昌 山里勇吉 他

本作は琉球弧で巷間、歌い継がれてきた春歌を中心に抵抗歌、反戦歌もふくめた沖縄島唄集。演者は嘉手苅林昌(本島・中部)、山里勇吉(八重山・石垣)の名人二人。オリジナルアナログ盤ではそれぞれ、盤の表裏を分け合っていた。このアルバムによって本土に向けて本格的な島唄紹介が端緒に着いたことをもってしても本作の価値は極めて高い。そして、本アルバムに収められた名唱を凌ぐ自由闊達な歌唱に未だ巡り会うことはない。若き日の大工哲弘の歌声も聴ける。島唄黄金期の記録。(70/03初出)2008年作品。


1. 国頭ジントーヨー
2. かいさーれ
3. 県道節
4. 軍人節
5. 海のチンボーラー
6. 解説 I
7. 解説 II
8. 琉旋はやり唄
9. 無題二曲
10. 磯節
11. ストントン
12. 六調節


『日本禁歌集』について
『日本禁歌集』は60年代後半から70年初頭、今は亡き硬骨のルポライター・竹中労の監修のもと、制作され、本邦初の本格的インディーズ・URCレコードよりリリースされました。『日本禁歌集』はタイトル通り、遊郭や料亭でひそかに歌われてきた春歌、座敷芸、艶笑小咄の類から社会&政治を風刺した抵抗歌に至るまで、巷間伝わる禁歌、民衆芸能を集成した画期的作品集でした。おおらかな性表現や自由な批評精神を損ないたくなかったためか、当時は会員頒布のみの限定発売(3000枚)という特殊なかたちでのリリースでした。のちにこの流通形態をめぐって既成の販路にのせての流通を希望したURCと、飽くまでも「アングラ出版」を主張した竹中労との間に亀裂が生じ、やがて対立、関係解消へと到ることとなりました。そのことによって当初、全七集を予定していた禁歌集は半ば四集をもって未完のまま頓挫したのでした。すなわち、第一集『ぴん助風流江戸づくし』第二集『波まくら淡海』第三集『沖縄春歌集 海のチンボーラー』を竹中監修のもとに制作されたものの、第四集『松鶴上方へそづくし』では竹中は制作にタッチせず(途中で放棄したのか?)、藤本義一が構成を担当することによってなんとか発売に漕ぎ着けたようです。そして、すでに録音&編集を終えていた第五集『みちのくZAれ唄』はとうとう陽の目を見ることもなく、今日に至っています。
1976年、URCレコード倒産。しかし、80年代より、URCは「インディーズの先駆」として再評価され、往年のカタログは大手レコード会社よって幾たびもCD化され、「日本のフォーク/ロック黎明期」の貴重な記録として、その時代、時代の若者たちに熱く受け入れられ語り継がれてきました。しかし、度々のリイシューの機会にめぐまれたURC作品群ですが、なぜか「禁歌集」だけは作品化されることはなかったのです。
91年に竹中労他界。この作品集について詳しく語れる人もいまはいません。本作品集のインパクトによって小沢昭一監修の厖大なアンソロジー『日本の放浪芸』が登場したこと。70年代中盤に竹中労の力業によって本土に「琉球島うた」の豊穣な世界が紹介される、その端緒に本作品集が措かれたこと。このふたつのことを考えただけでも「禁歌集」のもつ重要性が際立ってくるのではないでしょうか。この国の大衆音楽/庶民芸能史にとって最重要な仕事であったにもかかわらず、これまでにほとんど語られることもなく、正当な評価もされないまま、「まぼろしのアルバム」になっている現状は残念でなりません。
『日本禁歌集』をなんとかCD化できないだろうか。積年の想いをわたしたちは行動に移しました。そしてやっと、マスターテープの在処へと辿り着いたのです。そこにはなんと、すでに散逸しているであろうと予想していた未発表音源『みちのく戯れ唄』のマスターテープまでもが寄る年波をかい潜り、朽ちることもなくきちんと保管されていたのでした。わたしたちはオリジナル・アナログ・マスターによるCD化という幸運にめぐまれたのです。
2008年現在、制作以来四十年近くの歳月を経た『日本禁歌集』を聴くとき。春歌や猥芸につきまとう一般的なイメエジ、「卑猥」「下品」、「鑑賞に堪え得ぬもの」、そんな印象をまったく受けなかったことは大きなは驚きでした。それとは反対に江戸期以来、民間に培われてきた庶民芸能における「洒脱」「粋」、「洗練」を強く感じたことでした。ここにはいにしえより庶民生活の中で育まれてきた健康的なエロチシズムはあっても隠微な淫猥さは微塵もないのです。情報が氾濫する現在、どぎつさを競えば、昨今の深夜番組や数多ある雑誌類、ネットのアダルトサイトほうがよっぽど直裁で「エロい」のですから。その意味で本作品集を春歌、猥芸のみに焦点を当てて鑑賞するのは些か見当はずれなことなのかもしれません。それよりはむしろ、本作品集に今まさに絶えようとしている庶民諸芸の原基(元の姿)をみることのほうがより重要なことではないのか、と考えるのです。
桜川ぴん助(かっぽれ・幇間芸人、第一集収録)、博多淡海(博多二輪加・寄席芸人、二集同)、嘉手苅林昌(沖縄春歌・島うた歌手、三集同)、松福亭松鶴(艶笑咄・落語家、同四集)、浅野梅若(三味線演奏・秋田三味線奏者、五集同)…、不世出の名人たちはすでに物故して、一代かぎりの至芸は滅び去り、まさに「伝説」になろうとしています。本作品集の収録時、名人たちはいずれも四、五十代。もっとも芸に磨きがかかり、脂ののりきった時期であったことをおもえば、この記録は奇跡とよぶほかはありません。この一事こそが、「なぜいま、『日本禁歌集』なのか」、という当然の問いかけにたいするもっとも有効な回答なのだと考えます。(2008.7.28)


監修:竹中労 装幀:竹中英太郎




本シリーズ全5巻をまとめてお買い上げのお客様には『別冊 note/ off note vol.1 日本禁歌集の宇宙』( 記忘記同人編/邑楽舎刊)を進呈いたします。


[試聴]
2.かいさーれ / 嘉手苅林昌



AUR-16 日本禁歌集3 沖縄春歌集 海のチンボーラー/嘉手苅林昌 山里勇吉 他 

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