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記忘記 note/off note 2020-09-11


現在の夢

本年リリースはナマステ楽団一作のみだがリーダーの末森英毅さんは不思議な人だ。知り合ってまだ間もないのにずっと前から知ってたような錯覚に陥るのは語りに騙りが多量に含有されてるゆえの脳の痺れか。だがタブラの音律に乗せて紡がれる綾詞は万華鏡のように千変万化の形象を織りなす。乞うご一聴。

ギンゴーは北海道を拠点に活動する男女ユニットだ。鈴木翁二さんとも関係が深い。二挺の馬頭琴と声で象られるフォークロアの調べは新たな共同性の在り処を示す。現在の夢は北海道と東京で交信しながら「透明通信」を協働すること。目下二人だけのナマステ楽団を看板通りの楽団に昇格させる二つだ。

つげ忠男さんより久々に電話いただき近況を伺う。戦後の混乱期を描いた最新刊『昭和まぼろし忘れがたきヤツたち』は好評だという。それにしても「昭和」の混沌を身体を張って生き抜いた無頼の群像は薮睨みをくれてこの「令和」の頽廃をどう見つめているのか。私たちは過去からも未来からも凝視されているにちがいない。ならば「歴史が証明する」などという捨て台詞は負け犬の遠吠えでしかあるまい。自らを顧みて「歴史」を騙るな。いまを真摯に生き抜く生活者にとって「いつでも「現在」だけあって大文字の「歴史」などどこにもないのだから。穏やかに話すつげ忠男さんの声を聞きながらふとそんなことを想った。

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