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記忘記 note/off note 2018-10-09



窮巷のブルーズとブギウギの間で

本日『SP巷談 二〇世紀之大衆藝能第48回』無事終了。1947(昭和22)~48年に吹き込まれたSPレコードの溝の裡に当時の時代相を探る。前年(1946年)から高まっていた日本革命の気運は2.1ゼネスト中止を境に後退を余儀なくされ、ついにその芽を摘まれてゆく。大衆の心情は菊池章子『星の流れに』沈淪する窮巷のデカタンスと、笠置シズ子『東京ブギ』底抜けに陽気なシンコペートの間を揺れながら、竹山逸郎『異国の丘』二葉あき子『フランチェスカの鐘』津村謙『流れの旅路』等、大衆の戦争体験から滲み出したブルーズフイーリングに酔い痴れた。が、それとはまるで対照的な、真珠湾の悪夢を記憶から振り払おうとしてもがいているようなオカッパルこと岡晴夫『憧れのハワイ航路』自棄糞気味の明るさが却って哀切に響く。渡辺はま子『ズルチンボーイ』の歌詞には「ズルチン」(サッカリン同様、人工甘味料の一種)と並んで「ゲネスト(ゼネスト)」も登場するが、「口うるさいゲネストボーイ」とヤユされている。むしろ、大衆は「革命」よりも「ズルチン」とか「カストリ」あるいは「ヒロポン」といった、身体に進駐して黒々ととぐろを巻く「飢餓」「空虚」を(たとえ刹那であっても)忘れさせてくれる粗悪な混合化合物に投企したのである。この国の革命運動はGHQ庇護の下、大衆の身体的飢餓に寄り添えず、ずるするとだらしなく後退していっただろう。一方、大衆は焼け跡のデカダンスとアナキズム的心情のアンビバレンスを身体にひたすら蓄積していったのである。その集合的身体ともいうべき大衆のアマルガムが美空ひばりという憑り代を得て噴出するまでもう秒読み段階。

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