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記忘記 note/off note 2018-10-10



音頭夢幻ノート 2018 ②

先日、今後予定している河内音頭の音盤企画として頓挫したままの故初音家秀若師との恊働を些か心情的に綴ったが、今回は積み残した仕事をひとつずつ具体的に記していこうとおもう。
まずはじめに、返す返すも無念なのは初音家秀若師名義のフルアルバムを残せなかったことである。あたためていた企画はあったのだ。秀若師が四代目宗家を務めた初音家は従来の地場の音頭に浪花節の節調を採り入れて現代河内音頭の礎を築いた老舗会派だが、その初音家には初代・初音家太三郎師が残した浪曲音頭の台本が「初音家五大部」として久しく伝承されてきた経緯がある。すなわち「河内十人斬り」「俊徳丸」「平井権八」「難波戦記」「神崎東下り」いずれも長尺の五題である。その中でも取り分け「河内十人斬り」「俊徳丸」の二題が重要視されてきたという。わたしたちはこの初音家伝来の大ネタ二題に従来の音頭伴奏(三味線・太鼓・ギター)に加え、シンフォニーオーケストラをも導入して、音頭に内在する物語空間を言霊と音霊が自由に交通し交感する「モノガタリ往来」「モノガタリ交響」として再編し顕在化しようとしたのである。この企画は実行にうつされぬ間に初音家秀若師が逝去され、ついに「まぼろしの企画」となってしまった。昨年10月に実現した関島岳郎オーケストラが示した同時代音楽の達成をおもうと、早すぎた秀若師の逝去が悔やまれてならない。本作は完成していたら『朝まだき NEW MORNING』と題されるはずであった。
わが同時代音楽と音頭最深部の合作はならなかったが、秀若師はライブのたびに40分におよぶ長尺「俊徳丸」を熱演していて、その良質のパフォーマンスのひとつが2012年、新宿ゴールデン街劇場でおこなった企画ライブ(詳細はチラシ参照)でのテイクだ。このときに伴奏を務めてくれたのが向島ゆり子(ヴァイオリン)久下惠生(ドラムス)中尾勘二(サックス)の3氏で、このとき初顔合わせながら白熱したインタープレイで音頭の行間に深みを与え、コトバのリズムを賦活してくれただろう。このときの記録をわたしたちが構想していた物語の全体性を示すプロトタイプ(未生のモノガタリゆえ『PRE LIVE』と名づく)として提出しておきたいとおもう。わたしたちの『朝まだき』はならなかったが、あとにつづく誰かがこのプロット『PRE LIVE』から音頭の「新しい夜明け」をかならず手繰り寄せてくれるにちがいない。
さて、次回は秀若師の同志、初音家石若師ナンセンスオンドの至芸『うらばん』について記したい。いまさらながら、積み残した仕事量の多さに呆れるばかりだが、自分に愛想尽かししている暇はない。急がないと命の日が暮れる。

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