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記忘記 note/off note 2019-04-22



終り、はじまる

昨日『第10回 藤村直樹記念 君こそは友』(京都拾得)大盛況の内、無事終了。歌に包まれた感動的な一夜だった。例年は出演者が多く、各自の持ち時間が10~15分ほどだったが、昨晩は演者を四組に絞ってのプログラムだったから落ち着いて歌うたい一人ひとり、唄一つひとつと向き合うことができてうれしかった。
トップバッターの小室等・ゆいさん父娘はいつもサービス満点。『風の中で』『お早うの朝』往年のヒット曲から、最近曲『逢いたい』(永六輔作詞の「逢いたい」ばかりを74回繰り返す名曲)まで客席をぐいぐい詩の世界に引き込む。このお二人のデュエットにはなぜか不思議なエロティシズムが漂う(れっきとした父娘にもかかわらず)。余談だが、この日の小室さん父娘は出番直後に福井移動という強行軍。昨晩にかぎらず、スケジュールのご無理を押して10回すべてに出演してくださったお二人のかつての歌仲間への義理堅さには頭が下がる。出番が終わるや否や楽器と荷物を抱えてタクシーに乗り込むお姿に、関係者の端くれとして心の中でそっと御礼を申し上げた次第。
つづく二番手は佐久間順平さん。この人が大向こうを唸らせる弦楽器のオールラウンドプレイヤーであるばかりでなく、すぐれた歌い手であることは知っていたが、こうして歌声を聴くのは久しぶり。一曲目の『最終列車』が歌い出された瞬間、この歌を聴いたのが17歳の高校生たったのを俄に思い出した。41年前だ。 この人の歌にはフォークソングの良質なエッセンスがいっぱい詰まっていて聴き逃せない。永年、名脇役に徹して主役の背中をじっと見つめてきたたしかな審美眼がキラリと光る。とくに、高田渡さんのサボートには欠かせない人だったけれども、この人の唄のなかに溢れるル故人へのあたたかい眼差しに胸が熱くなった。佐久間順平は高田渡の背中と、その背中越しの藤村直樹をこんなふうに見つめていたのだな。高田渡・藤村直樹の「めりけんふぉーく」の継承者はこの人だろうなどとおもいながら、その渋く味わい深い歌声とギター(と、ヴァイオリンの弾き歌い!)にじっくりと耳を傾けた。
10分の中入りをはさんで真打ち二人の登場。豊田勇造さんの歌を聴くのはほんとうに久しぶりだ。わたしが現在、曲がりにも音楽制作者面していられるのも、その原点にこの人の歌があったからだと憚りなく言える。20代の頃、豊田勇造の自主コンサートを主催したのがわが歌狂いの事始め。この日も歌った「大文字」「チャオプラヤ河に抱かれて」70・80年代往年の名曲には当時の記憶がしがらみ、冷静に聴くことができない。聴けばいつでも血が騒ぎ出し魂は震えるのだ。ひさしぶりの元気な歌声から、勇造さんはいまも唄の旅に棲んでいることを確認させていただいた。いつか、豊田勇造が辿ってきたアジア唄旅の軌跡をアルバムにまとめたい誘惑に駆られる。
ラストはやはりこの人、中川五郎さん。一曲30分におよぶメッセージソング『ピーター・ノーマンを知ってるかい?』に全生命を傾けて挑むような熱演につぐ熱演。歌うほどに水嵩を増し奔流となっ て聴くものすべてを飲み込む凄まじい圧巻のパフォーマンスを目の当たりにして、この人の存在そのものがメッセージなのだと思わずにはいられない。中川五郎さんと同時代を生きられることをうれしくおもう。
この四組のほかにもライブ全編でサポートを努めたラグパパジャグバンドの好演や本ライブのテーマ曲『君こそは友』(藤村直樹作)斉唱をリードした長野たかしさんの友情も特筆に価するだろうが、やはり10年に亘り本イベントを裏方で支えつづけた藤村美幸さんはじめ世話人のみなさん、スタッフの方々の陰徳に心から感謝の意を表したい。
10年かけた関係者の粘り越しがここにきて実を結んだ。いい唄の集いになった。これで終わりなんてもったいない、ここからまたあらたな唄の旅路がはじまるのだ。

藤村直樹さん、同時代の不思議な縁と歌の贈りものをありがとうございます。あなたのことはけっして忘れません。 2019.4.21

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