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記忘記 note/off note 2019-05-18



藤村直樹の夢

本日8日は『第10回藤村直樹記念 君こそは友』(京都拾得)。2010年逝去した藤村さんの遺徳を偲んではじめられた本イベントも本日でいよいよ最後となります。「終り、はじまる」と銘打たれた今宵のライブ、何が終り、なにがまたはじまるのか、下記5作品を担いで見届けにまいります。 2019.5.18

以下、昨年11月に綴った拙文です。

2010年に逝った京都の唄うたい・藤村直樹さんの関連5作です。藤村さんは関西フォーク草分けの一人です。60年代後半の世界動乱の季節、この国にも澎湃として起こったフォークムーブメントに投じ、若い仲間たちとともにフォークキャンパーズと名乗る不定型のグループを組織、類稀なリーダーシップを発揮して「造反有理」の歌声運動を根底から支えました。また、ソロとしてもフォーク運動の発火点だったURCレコードの最初期に『町工場のブルース』の録音をのこしていますが、これまであまり馴染みのなかったブルーズをこの国の生活者の実感にフィットした唄に仕立て直して紹介しており、ここでも非凡さを発揮しています。
70年代前半、フォーク運動が昂揚から退潮へと向かう中、多くの唄うたいがリタイアを余儀なくされていったように、医学生だった藤村直樹も学園へと戻り、その後は30年におよぶ永い空白期間が訪れます。そして、永いインターバルを清算して制作された記念すべき第一作が『逃避行-めりけんじゃっぷの放浪綺譚』です。本作では藤村さんが嗜好した〝アーリーアメリカン〟フォークロアの数々が、歳月を経てまろやかでコクのある「唄」へと熟成していることを強く感じさせてくれる唄うたい・藤村直樹一世一代の名演です。
また、藤村さんが自らの「空白期」をいたずらに過ごしていたわけではないことを知らせてくれたのが70年代の旧音源を集めて編まれた『アーリーデイズ』です。この間、藤村さんは医業のかたわら、赴任先の和歌山で同志を募ってフォーク村を組織して自主コンサートを開催するなど、ついに唄から離れることなくひたすら地道な活動を展開しています。本作を一聴すれば、フォーク運動で蒔かれた種子が、この時期にこの国の風土に根差したことをご理解いただけるはずです。
さらに最大の問題作『老人は国会突入を目指す』。中川五郎さんは本作でこう綴っています。

「働き終えた老人たちにきちんとした保障が与えられるシステムはこの日本で完全に崩壊し、青年だけではなく、人は一生荒野をめざし続けなければならず、老人たちは最後の手段として命を賭けて実力行使にでるというこの歌は、最初はおもしろいとにこにこ笑いながら聞いていても、最後には笑い事ではない事実を鋭く突きつけられ、顔面蒼白となる、何とも恐ろしいものだ。
 ウディ・ガスリーに通じる伝統的なフォーク・スタイルで藤村直樹は『老人は国会突入を目指す』を淡々と歌っているが、その歌の奥には現実と未来とをしっかりと見据える彼の洞察力に満ちた目が光っている。間近に迫って来た、人類が初めて経験する21世紀の荒野での恐ろしい大虐殺(Massacre)の歌を、藤村直樹はぼくらに向かって初めて歌ってくれたのだ」と。

フォークの初志を生涯に亘って貫き通した藤村直樹、面目躍如の快演です。
そして最後に『夢』と『君こそは友』。前者は藤村直樹さんのラストコンサートの鬼気迫る熱演を、後者は藤村直樹の死を悼む仲間たちの集いの模様を収めたライブアルバムです。40年後のフォークキャンパーズ。死してなお、藤村直樹の霊はうたうたいの「うたわずにはいられない」魂をいやまして励まし鼓舞しつづけているのでしょうか。
医師にして唄うたい、そして稀代のオルガナイザー、藤村直樹。こういう人がいたことを忘れないでいただけたらとおもっています。2018.11.28












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