記忘記 note/off note 2019-06-10
日々の泡
尊敬するイラストレーター・河村要助さん、今月4日逝去(享年75)。兄貴分・藤田正さんからこの一報を受けたときは心の底から驚いた。というのも、現在企画進行中の河内音頭旧音源をまとめたアルバムのジャケットを要助さんの旧作イラストで飾らせていただくご承諾を藤田さんを通じていただいたばかりだったからである。要助さんと直接お話ししたのはたった一度きりだったけれども、名著『サルサ天国』は20代のわたしに未知の音楽・サルサの扉を開いてくれた大切な一書だったし、実行部隊の末席を汚して関わらせていただいた錦糸町河内音頭盆踊り大会のポスターも強い印象を残すものだった。もちろん、音楽誌『ミュージックマガジン』や『Bad News』の表紙を飾った河村タッチのイラストも眺めているうちに音楽が鳴り出すようで、いつだって心躍った。要助さんのイラストを未知なる世界の入口にして、ニューヨークラテン地区に迷い込んだり、夏の河内平野を音頭を求めて彷徨ったものならいくつも顔が浮かぶが、それを軽く上回ってきっと数えきれないほどだろう。音楽ファンの記憶に残る偉大な画業。その偉業をもって、河村要助の絵は世界・大衆音楽のイコンとして光彩を放ち、わたしたち同時代が共有すべき魂の財産たり得る。要助さん、ありがとうございまました。サルサ天国に召された要助さん、音楽ファンの一人として心よりご冥福をお祈り申し上げます。 2019.6.10
2019-06-10 17:10