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記忘記 note/off note 2019-06-12



あの町とこの町を往き来するウタ

『ホジキンソンさんの言うことには / オクノ修』、2016年にリリースした本作は京都のうたうたい・オクノ修さんの最近作ということになるのかな。〝新譜〟と書けず、躊躇いながら〝最近作〟と綴ったのはリリースからすでに 3年が経過しているからで、いまさらながら時の流れの迅さに驚かないわけにはいかない。けれども、オクノさんのタイムテーブルはこれまで一〇年に一作ペースだから、無理矢理ひねり出した〝最近作〟という言葉も蹌踉けながらもかろうじて均衡を保っている態だね。ご承知のようにオクノさんは京都・三条河原町にある老舗珈琲店・六曜社地下店の店主である。オクノさんの一日は早朝の店内掃除から始まり、つづいて顧客先への珈琲豆発送作業。昼はカウンターのなかに立ち無駄ひとつないきびきびした動きで何杯も珈琲を淹れる。夜は実家に隣接した焙煎小屋に籠って遅くまで珈琲豆を煎る。作業が終ると、馴染みの店で一杯ひっかけて帰宅。すこしだけレコードを聴いて間もなく就寝、午前12時。〝くる日もくる日も またつぎの日も〟(「ランベルマイユ珈琲店」うたうたいのうたえる)この繰り返しだ。むろん、日々の反覆作業が「深い香りの珈琲一杯」を供するために必要にして欠くべからざるものであることは疑い得ない。まさに、一〇年一日。が、飽かずに繰り返しくりかえされる時間の堆積のなかから深い香りを閉じ込めた一杯の珈琲が拵えられるように、唄もまたそこからじわじわと沁み出してくるだろう。うたうたい・オクノ修はそのことを熟知しているからこそ、ぼくたちはかれの唄を信用できるのだとおもう。オクノ修〝一〇年一作〟の所以ある。
さて、六曜社の定休日は毎週水曜日。この休日はオクノ修さんにとってもっともだいじな時間だ。オクノさんはこの休日を利用して電車に乗ってよく出かける。訪れる場所の多くは大阪・西成地区。行きつけの店があり、そこで日がな一杯やりながら往き来する人々を眺めるのが好きだという。そんなとき、オクノさんは行き交う人の姿に、新宿でサンドイッチマンをしていた一〇代のじぶんを重ねたりするのだろうか。本作は「あの町とこの町」(フラリフラフラ)、オクノさんが日々のくらしのなかで往復する二つの町のことが語られてるだろう。ふたつの町の間に、うたうたいの「過去」と「現在」がくっきりと浮かび上がり、心象の風景を映し出す。過去と現在を「なつかしさ」と「あこがれ」にも置き換えてもいいが、いずれにしろ本作がううたうたい・オクノ修の心象のドキュメンタリであるのはまぎれもない。日々のくらしから沁み出すウチソトのモノガタリをいま。だから、ホジキンソンさんの言うことは聞くな、オクノ修の唄を聴け。 2019.6.12



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