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記忘記 note/off note 2019-06-14



ジャズ・シンクレティズムの道標

『 FIRST DESERTER 最初の脱走兵 / 梅津和時』、1995年にリリースされた本作は、運動体としてのオフノートにとっても、同時代音楽総体にとっても、「他の音楽」への回路を繋いでくれた重要作である。1970年代、原田依幸さんとの生活向上委員会ニューヨーク支部以来、梅津和時さんはジャズ・コア内部から発信される電波に絶えず五官・第六感を澄ませて全身全霊で感知していただろう。だからこそ、時代を経るごとにジャズコアからの電波が微弱になっていったのを逸早く察知できたのだし、“AROUND THE JAZZ”への逃走を即座に開始し得たのだとおもう。そのとき、梅津さんが嗅ぎ取った〝兆し〟は、ジャズにおける〝ユニティ〟の解体であり、あらたな〝コミュニティ〟の浮上だったはずである。本来、ジャズは多種多様の民俗的要素を織り合わせた混淆音楽だっただろう。ジャズが豊かに湛えていた〝シンクレティズム〟あるいは〝エクレクティシズム〟の多様性が〝統一〟を指標としたとき、すでにジャズの興揚と衰亡は予納されていたのだ。永い間、繰り返し繰り返される興亡にどっぷりと身を浸し、ジャズという音楽と生き方に真摯に関わり、多くのものを受け取ってきた梅津さんにとって、本作はひとつの「回答」であり「決断」だったのだとおもう。そう、一番最初の、ジャズからの脱走兵になる決断。これは最早「逃走」ではない、「闘争」と呼ぶべきだろうか。
「カンサスの素朴なリフがニューヨークのスピードにぶつかったときビーバップが生まれた」と語ったのはかのチャーリーパーカーだったが、梅津さんもまた、めまぐるしく変化を繰り返すジャズコア・ニューヨークの身中に進駐して「周縁」を象る多種多様な人たちと出会い、アジア人としてのアイデンティティをまるごとさらけ出しぶつけ合って“AROUND THE JAZZ”へと投棄していったのである。本作は、梅津さん自らの来し方を綴った「自分史」であると同時に、未来音楽図でもあるだろう。AROUND THE JAZZ(=他の音楽)の可能性が〝多様性の調和〟を指標としてくっきりと道を拓いている。まさに、梅津版ガイドブック「地球の歩き方」「地球の鳴らし方」だ。そのガイドを捲ると一頁目にこうある(ウソだけど)。ジャズの街・ニューヨークをして〝アップルコア〟と呼ぶ。むろん、リンゴをリンゴたらしめているのは真ん中を貫く〝芯〟だが、齧って美味いのはそのまわりだろ。梅津和時のリンゴの味は食ってみなけりゃわからねえ、と。 2019.6.14

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