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記忘記 note/off note 2019-10-16


原田依幸の GHOST SONATA

昨夕、エンジニア・石崎信郎さんより、5日におこなった『全身音楽 / 原田依幸 SOLO PIANO』(京都・みとき屋)の模様を収めたCD-Rが届く。当初、本ライブは沖至さんとDUOとして企画されたものだが、沖さんの体調不良のため、ピアノソロということになった。沖さんも原田さんも「初共演」をたのしみにしていたし、誰よりもおれ自身が心待ちしていただけに、今回の「延期」は残念でならなかった。気持ちを切り換えるのに一苦労したが、届いた音源の一音を聴いてそれも報われた気がした。とていもいい、否、凄い!当夜は、細長い(京都らしく懐深いというべきか)店のいちばんうしろの席で演奏を聴いていた。企画制作者のポジションというのは難しい。予めいちばん音がよく聴こえる場所を陣取るか、それとも後方でそっと見つめるか。おれは大体、後者を選ぶ。その方が客席全体の反応も含め、音楽の全体を俯瞰することができるだろう。だが、今回はちがった。まず、音源を聴いてピアノのダイナミックレンジと音の粒立ちに圧倒されたのである。店のピアノはドイツ人店主が故国から取り寄せたウィーンの至宝・ベーゼンドルファーだが、その香しき音色も店のいちばんうしろでは3割か4割ほどは減殺されてしまうからな。話はちと逸れるが、このたびの台風19号を経験して、人とそれを取り巻く環境ということに想いを致し、一つの箴言にぶつかった。「人間は思いの主人であり、人格の制作者であり、環境と運命の設計者である」(ジェームズ・アレン)。人が環境を作るのか、環境が人を作るのかは知らない。おれなどは人間は自然や環境にたいしてもっと謙虚であるべきだとおもうが、この二つは融合と相克を繰り返しながらさまざまな現象を浮かび上がらせていることはまぎれもない。なぜ、音楽の感想に唐突にこんなことを割り込ませて語り出したかといえば、「環境」を「楽器」に読み替えて考えたいからだ。当夜の演奏で、原田がピアノを弾いたのはたしかだが、当夜降りてきた「祝福の音楽」はこのピアノでしか引き出せなかっただろう。原田の身体の記憶に堆積された全身音楽、その態様をまざまざと見せつけられたのが当夜の演奏であった。「胡蝶の夢」というのがあるだろう、夢の中のおれが現実か、現実の方が夢なのかというあれだ。人と環境の関係が不即不離であるように、夢と現は地続きなのかもしれぬ、そう思わせてくれるのが音楽の魔法だ。原田依幸の音楽は虚実の皮膜を遊ぶ一羽の蝶である。この音楽の魔法を断じて私してならない、音楽の魔法を信じる人と分ち共有したい。いつか作品化します。アルバムタイトルをひとつ思いついた。GHOST SONATA. スウェーデンの作家・ストリンドベリの戯曲『幽霊ソナタ』からそのまま拝借したものだが、原田依幸が奏でる「どこにもない」非在の音楽にはぴったりだとおもうが如何。原田さんに却下されなければタイトルはこれでいく。 2019.10.16

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