カートをみる マイページへログイン ご利用案内 お問い合せ お客様の声 サイトマップ
RSS
OFF NOTE CD NET SHOP
off note  DISC AKABANA  Katyusha MISORA RECORDS
〈オフノート/ディスク・アカバナー/華宙舎/ミソラレコード/邑楽舎〉CD通信販売
INFO
TEL 03-5660-6498   MAIL info@offnote.org 
[お支払方法]
郵便振替・銀行振込・代金引換・クレジットカード・コンビニ・電子決済
送料無料

記忘記 note/off note 2018-06-17



うらにしの里

先日、つげ忠男まぼろしの名作「うらにしの里」(『ガロ』1971年3月号)について「現在閲覧不能」と綴った。本作は単行本未収録ながら一時期ネット掲載されていて、すこし前なら簡単に閲読できたはずだが、いまでは閉鎖されてしまったようだ。つげ忠男さんと雑談していたとき、思いついて確認したところ、生原稿はキレイに揃っているという。忠男さんは「ボツになったルポの原稿も残っているはずですよ」と付け加えられた。「ボツになったルポ」とは本作執筆のきっかけになった某月刊誌依頼による「探訪記」のことで、この取材記事はついに掲載されることがなかったとのことだが、なんと不掲載の理由が「探訪記として刺激が弱い」「おとなしすぎる」というものたったというから驚く。当時の編集者からしてみれば、記事のモチーフである「過疎部落」について読者の耳目を惹くようにセンセーショナルな煽り記事にでっち上げてほしかったのかもしれない。ここに「事実」をフレームアップしてふけあがる「差別」の構造を読み取るが、はたして穿ちすぎか。つげ忠男『うらにしの里』は静かな作品だった、そこにも当たり前の人間の営み(世間の風評に晒されているがゆえ、たぶんに警戒心は強化されているものの)があるという自明性に貫かれていたのである。それにしてもこの作品の被った不当な扱いはどうしたことか。苦労して取材した「探訪記」はボツにされ、つづけて描かれた本作も永年、単行本未収録のままいまだに陽の目を見ていないではないか。この作品にはじめて接したときに受けた静かな衝撃をわたしはけっして忘れない。この感動を一人でも多くの人々につたえたいとおもう。わたしの拙い感想をつげ忠男さんにおつたえしたところ、同意をいただくことができた。ささやかながら、『うらにしの里』(元になったルポをも含め)を一冊にまとめたい。 幸いにも、わたしたちには『風信』という協働の媒体がある。「増刊」というカタチでもいいじゃないか。さすれば最早、看板に掲げた「絵はがき帖」の域を逸脱してしまうが、お体裁を取り繕っている場合ではない。それに、つげ忠男アウトサイドが浮かび上がることは読者の方々にとっても、作品にとっても大きな喜びであるにちがいない。躊躇いはない、遠慮もしない。明日、わたしは本作原稿をお借りしに、つげ忠男さんを訪ねるだろう。

コメント

[コメント記入欄はこちら]

コメントはまだありません。
名前:
URL:
コメント:
 

ページトップへ