台湾原住民たちが、日本の近現代史の矛盾を討つ!
2007年度キネマ旬報文化映画ベストテン第5位
日本映画ペンクラブ映画賞文化映画第4位 2008年作品
「彼女たちの鮮烈な抗議を前に、私たちは自分たちのアイデンティティと信じていたものが、底をさらわれるのを知る。」広河隆一 (フォトジャーナリスト DaysJapan編集長)
「今日の日本の状況へのするどい問いを孕んでいる上に、とてもスゴイ映画の登場に興奮しています。」
土本典昭 (記録映画作家)
【アルバム制作者ごあいさつ】
二枚組DVD/CD『出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦』が完成しました。この作品は台湾原住民の奏でる音楽を媒介しながら、日本における「戦争責任」に鋭くメスを入れた問題作です。…と言っても、けして誤解なさいませんよう。このドキュメンタリは断じて、ある種の政治的プロパガンダ映画ではありません。わたしが先行するこれらの仕事を紹介しようと決意した最大の動機は、そこに折り込まれた政治的メッセージに共感したからではなく、かれらの所有する歌声に共鳴したからにほかなりません。彼らが祖先から受け継ぎ、さらにあたらしく仕立て直した歌の一つひとつは深く鋭くわたしの胸を抉りました。かれらがみずからうたうべきうつくしい歌をもち、その歌を武器に闘う姿に心衝たれたからでした。「音楽は階級闘争にすぐれて革命的である」のです。ですから、わたしにとって彼らとの連帯の証しは、彼ら台湾原住民による音楽集団・飛魚雲豹音楽工団の音楽を広く世に紹介することなのだと思い定めました。いま・わたしはかれらの歌声を繰り返し繰り返し聴いています。アジアからさらにアフリカへと歌が辿ってきたであろう、とおい道のりを遡行しながら、この国に住むわたしたちが喪った多くのものをおもっています。素晴らしい歌声です、ぜひともご視聴(DVDとCD)を、とねがってやみません。2008.7.28 off note/Aurasia 神谷一義
【「出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦」について】
1972年、宮古、八重山、西表、与那国そして国境を越えて台湾までを生活圏としていた人々を扱った「アジアはひとつ」という記録映画を一味同心で製作した。「反帝亡国 国境突破」というスローガンそして、「海ゆかば」をバックに台湾「高砂族」たちの「もう一度戦争がしたい」という言葉で終わる「バチ当り」なものだった。30年を経た2002年の夏、靖国神社で再び彼らに遭遇した。彼らはこともあろうにあの「神聖」な靖国神社の境内で自らの伝統的な歌と踊りで靖国神社に対する抗議活動を展開していたのだ。この「バチ当り」はきっと只者じゃないと直感した。そしてインターネットから決定的なフレーズを探し当てた。「首を刈る部族は歌がうまい」故小泉文夫氏の講演記録からだ。音楽ドキュメンタリービデオ「出草の歌_台湾原住民族の吶喊-背山一戦 」がスタートし再び訪れた台湾。かつての山地同胞、高砂族は、自ら誇りを持って「原住民」と呼ぶことに驚かされた。さらに中国系の人たちをなんと「漢族」と呼び、少数民族として極めて原則的な戦いを展開している、32年前の彼らの言葉「もう一度戦争がしたい」というのはこれなのだ、---ドキュメンタリーは予見である---と言ったのはルポライターの故竹中労だ。正にあの言葉は原住民たちの予見だったのに違いないと気づいた。文字を持たなかった故、生活そのものであるといえる歌と踊りを武器に、山を背にして一戦に挑む台湾原住民たち、次なる予見ははたしてなんなのだ…… 井上修(撮影・編集)山形国際ドキュメンタリー映画祭2005・特集カタログより転載
DVD
出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦
企画・制作/NDU 日本ドキュメンタリストユニオン
撮影・編集/井上修
2006年新編集版 ビデオ・ワイド・112分
CD
祖霊的楽章 祖霊之邦 飛魚雲豹音楽工団
1.出草
2.懐念祖先
3.頌讃歌
4.大地吟唱
5.依呀伊
6.冬祭
7.生命之歌
8.来甦
9.凱旋歌
10.タイヤル古訓
11.戦歌
1-6「十字路口」より 7-11「生命之歌」より
制作:NDU, off note / Aurasia
[試聴]
10.タイヤル古訓:
■ 商品説明
台湾原住民たちが日本の近現代史の矛盾を討つ!「彼女たちの鮮烈な抗議を前に、私たちは自分たちのアイデンティティと信じていたものが、底をさらわれるのを知る。」広河隆一 (フォトジャーナリスト)「今日の日本の状況へのするどい問いを孕んでいる上に、とてもスゴイ映画の登場に興奮しています。」土本典昭 (記録映画作家) 2007年度キネマ旬報文化映画第5位 日本映画ペンクラブ映画賞文化映画第4位
■ 商品仕様
製品名 | 出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦 / NDU |
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型番 | AUR-11 |
JANコード | 4571258156116 |
メーカー | off note / Aurasia |
製造年 | 2008年 |
【制作/演者プロフィール】
NDU 日本ドキュメンタリストユニオン 1968年、60年代前期学生運動の低迷期を体験した者たちが結集し、68年国際反戦デーに向けた反戦青年委員会の運動を記録した16mmドキュメンタリー「鬼っ子 戦う青年労働者の記録」を製作、NDUが発足した。しかしその中で、多くの反戦運動が日本の戦後から取り残された沖縄の矛盾への戦いに対し―――69年2.4全島ゼネストが提起されたにも拘らずだ―――抑圧こそすれ呼応しないという現実に直面。1970年、復帰前の沖縄コザ市照屋に長期滞在して「沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー」を製作し世に問う。1971年には、「唯一被爆国」との神話を金科玉条とする「戦後日本の平和運動」の欺瞞を打破せんと韓国へ渡り「倭奴(うえのむ)へ 在韓被爆者 無告の26年」を製作することで「国境」への確執を更に深めていく。1972年には引き続き、琉球弧の島々と海を捉えて台湾山地にまで踏み入る。そこで「大東亜共栄圏の生霊」かの「高砂族」に遭遇。総力戦覚悟で「アジアはひとつ」を残し解体。 そして32年を経た2002年靖国神社で、誇りを込めて自らを呼称する「台湾原住民」に邂逅し、NDUは東アジアの新たな地平へと出立した――
チワス・アリ (中国語名=高金素梅) 1965年、台湾省台中県出身。タイヤル族。女優、歌手として活躍後、肝臓ガンの闘病生活を経て2001年、第五期立法委員選挙で女性初の山地原住民委員(無所属)に当選。2004年、再選を果たした。2002年8月以来、靖国神社に対して台湾原住民「高砂義勇隊」戦死者の「合祀」取り下げを要求して何度となく来日。昨年9月には、「大阪台湾靖国訴訟」原告団長として小泉首相の靖国参拝「違憲」の判決を勝ち取った。本作品の激しく美しいヒロインである。
飛魚雲豹音楽工団 1999年、台湾大地震で多大の被害を受けた原住民部落は政府の復興計画から取り残された。その被災部落の救援のため組織されたボランティア団体、「原住民族部落工作隊」が母体となり「飛魚雲豹音楽工団」が誕生した。地震で消沈している多くの原住民たちの意識を高めようという目的でコンサートを開催。以来、コンサート活動やCD製作を継続して行い、その収益は原住民族運動に還元活用されている。