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OK-5 ニッポンジャズ水滸伝 人之巻 / V.A. [4CD]


ジャズの天地に自由の歌声溢れ世紀の調べは轟きわたる。  
茶色い戦争の谷間のマイナー梁山泊に結集した有名無名の青春群像、
ジャズに心躍らせリキュルで夜は更けるジャズエイジ転型期の記録。
無名時代の服部良一・林伊佐雄・松島詩子らが奏でる妙なる調べと、
歴史の裏面に埋もれた無数の魂の交感が織りなす至福のハーモニー。
大衆音楽の原像を鮮やかにつたえる未曾有のアンソロジー遂に完結!


〈ジャズ水滸伝(人之巻)編集に寄せて〉
「ジャズ水滸伝」第3集は、テーマ「人之巻」とある通り、戦前昭和文化をいろどったジャズ芸能ア−ティストの中から特異なキャラクターで独自の音楽を作り出した個々人にスポットを当て て編集した。それも従来断片的に復刻されてもまとめて集めることのなかった歌手やグループを主として、今まで全く紹介されることのなかった無名のアーティストも含めて、内容的には、なかなか興味のある歌唱が揃ったと思う。
 特に感じたのは、戦前の音楽には、ジャズを日本の文化に消化して、コミカル化したり、生活上の娯楽としてエンジョイする心情を表現したりするものが多く、それが結構音楽的に熟練した水準で演奏され歌われていることだ。第1 集「ジャズ狂騒曲」にその和風表現を収録し、第2集「ジャズ有名無名列士列伝」と第3集「めりけんじゃっぷのうた」に洋風表現を集めた。そして日本のジャズポピュラーに最大の貢献をした服部良一氏のマイナー時代の主要作品を 第4集「服部良一もうひとつの遺産」に収録した。
(瀬川昌久 本作解説より引用)


SPで綴る 二〇世紀之大衆藝能〉『ニッポンジャズ水滸伝』三部作、「天之巻」「地之巻」に続く完結篇、この国のベルエポックからジャズエイジを彩ったジャズ梁山泊・マイナーレーベルの中から特異なキャラクターで独自の音楽を作り出した人々にスポットを当てた。戦前大衆音楽の創造は、舶来音楽ジャズを日本の大衆に見合う文化に消化して、コミカル化したり、邦人特有の情感を盛り込んだりしながら胚胎した。
ディスク1 「ジャズ狂騒曲」では初期ジャズのもつ雑多な多様性を、ディスク2「ジャズ有名無名列士列伝」とディスク3 「めりけんじゃっぷのうた」では和魂洋才のジャズフィーリング、この国の大衆音楽独自の表現を聴くことができる。そして本作の白眉、ディスク4 「服部良一もうひとつの遺産」には日本のポピュラーミュージック最大の功労者・服部良一氏マイナー時代の主要作品を収録した画期的内容。
本アイテム(全100曲!)をお聴きいただければ、当時「ジャズ」という新外来語に込められた多様性の内実が掌を指すように明瞭に浮かび上がってくるだろう。さらに、読み応え十分の歌詞解説ブックレット(108頁!)も大衆音楽を考察する上で格好のテキストになること請け合い。大衆音楽の誕生を記録した未曾有のアンソロジー、ついに完結!瀬川昌久監修。2016年作品


【ブックレット執筆陣】
・瀬川昌久 (総論、各CD&各曲解説、服部朋子対談)
・細川周平(修業時代の服部良一)
・小川真一(アメリカのルーツ・ミュージックと戦前ジャズの関係)
・湯浅学(戦前の日本の大衆音楽の前衛性)
・古川武志(戦前音楽研究家) x 福島暢啓(毎日放送アナウンサー)
・梅津和時(「日本独特のジャズ」の雑食性)


[試聴]
"人之巻"ダイジェスト版



OK-5 ニッポンジャズ水滸伝 人之巻 / V.A. [4CD]

価格:

5,400円 (税抜 5,000円)

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ニッポンジャズ水滸伝 人之巻

DISC-1
ジャズ狂騒曲 Rhapsody in Jazz

1.ジャズ アホダーラ(兎と亀)  阿部徳次 松山浪子 ジャズソング PARLOPHONE 96535  
2.爆笑行進曲 阿部徳次 ジャズソングPARLOPHONE 96536
3.君と二人で シキ皓一 TAIHEI 21128
4.迚も今夜は朗らかよ 阿部徳次 ジャズ・ソングHO-OH P181-B 
5.呑兵衛ジャズ ミリオン・スイング・ボーイズ流行歌 ミリオン 84
6.ジャズキング 島津文雄 流行歌 Happy 2376
7.流線ジャズ 志村道夫 流行歌 CRYSTAL 2002-A
8.ジャズ東京 筆丸 HAPPY 2420
9.ジャズよ踊れ 奈良貫一 井上起久子 常盤静子 ジャズ合唱 ORIENT 4488-B
10.歓楽のカフエー 奈良貫一 井上起久子 常盤静子 ジャズ合唱 ORIENT 4488-A
11.ルンバ萬歳 浅草 美ち奴 流行歌 NITTO 6736-A
12.うれし初夢 毛利幸尚 黒田進 谷田信子 ダンス小唄(トロツト) LUMOND 3108-B
13.酒場天国 新城一郎 流行歌 AUGON A 5167-A
14.道頓堀コーラス ファイブ・スターズ ジャズコーラス 日本クリスタル 2020A 
15.マゝと呼ばれて 川路美子 流行歌 NITTO 6912-B
16.サロンの窓 若野はる美 CRYSTAL 2008-B
17.人形がほしいのよ ミミー宮島(七才) CORONA C5134-A
18.愛のほゝゑみ(タップ入り) ミミー宮島(七才) CORONA C5134-B
19.娘道成寺 河合ダンス シロホン 菊彌 サキソホン せき子 ピアノ 二三子 シロホン獨奏 ヒコーキ 70333-A
20.越後獅子 河合ダンス シロホン 菊彌 サキソホン 政榮 ピアノ 二三子 シロホン獨奏 ヒコーキ 70333-B  
21.ちょいとあの人好きな方 ミス・タイヘイ 流行歌(ルムバ)  Taihei 56431
22.陽気な彼女たち 大川静夫 流行歌(シックスエイト) NITTO S1169-A
23.エロ小唄 文子 ヒコーキ 流行小唄 70685-A
24.逢う日逢へる日 作間毅 泉愛子 ジャズソング NITTO 3667-B
25.いつそいかうか天國へ 小野千代子 流行歌(Tango)  AUGON A3-A


DISC-2
ジャズ有名無名士列伝 Stella by Stardust

1.エンゼラミア 内海一郎 ジャズソング NITTO 3463-A
2.蝶々さん 内海一郎 ジャズ NITTO 3462-A
3.布晆アロハオエ 内海一郎 ジャズソング NITTO 3462-B
4.道頓堀行進曲 内海一郎 ジャズソング NITTO 3440-B
5.故郷の空 内海一郎 ジャズソング NITTO 3439-A 
6.流浪の旅 内海一郎 ジャズソング NITTO 3439-B 
7.モンパリ 内海一郎 ジャズソング NITTO 3515-A
8.うるはしの君 内海一郎 ジャズソング NITTO 3555-B
9.嘆きの靴磨き 榎本健一 映画主題歌 太陽 2128-A
10.上海ブルース 柳原歌子 ジャズソング TAIHEI 21128-☆
11.春の歌 内田栄一 映画小唄 Parlophone E 1491-B
12.僕は一兵卒 内田栄一 映画小唄 Parlophone E 1491-A
13.匕首マッキーの唄 内田栄一 太陽 2009-A
14.これが人生の唄 内田栄一 太陽 2009-B
15.愛の言葉を 山田道夫 Parlophone E 2082-B
16.巴里祭の唄 山田道夫 金子多代子 Parlophone E 2082-A
17.マドロスの戀 山田道夫 東京セレネーダス合唱團 映画主題歌 PARLOPHONE E 1907-B
18.察して頂戴ね 加美可那子 AUGON A5167-B
19.酒場ぐらし チェリー・加美 流行歌 AUGON A 5117-A
20.夜霧の窓 加美可那子 流行歌 AUGON A 7170
21.銀座よさよなら チェリー・加美 流行歌 AUGON A 5054
22.カフェー小唄 高井ルビー ジャズ・ソング PARLOPHONE E1107-A
23.深川 高井ルビー ジャズ・ソング PARLOPHONE E1107-B
24.ドナウ河の漣 井上起久子 ジャズ小唄 ORIENT 60019-A
25.大湖船 井上起久子 ジャズ小唄 ORIENT 60019-B


DISC-3
めりけんじゃっぷのうた Hobo Jazz

1.谷間の山彦 チェリー・加美 マンドリンオーケストラ AUGON A 5040
2.スザナ ジョウジ・マキ マンドリンオーケストラ AUGON A 5040
3.ウクレレ・ベビー テッド・マキ AUGON A5002-A
4.小さな喫茶店 ジョウ・築本 AUGON A5149-A
5.カーボーイの唄 ジョウ・築本 AUGON A5149-B
6.谷の灯ともし頃 マイ・フレンド NITTO S1838-A
7.ミネトンカの湖畔 ヘレン・本田 NITTO 6640-A
8.最後の乱舞 服部逸郎 合唱オリオンコール NITTO 6640-B
9.ラモナ エミール岩田 TOMBO 15705-B
10.マキシムの唄 リチャード廣川 ジャズソング TAIHEI 56141-B
11.假装舞踏会 フランク須田 ジャズソング(タンゴ) TAIHEI 56349
12.夢淡く フランク須田 ジャズソング(ワルツ) TAIHEI 56349
13.片思い ミッキイ松山 ジャズソング(ワルツ) TAIHEI 56348 
14.去りし乙女  リチャード廣川 ハヤイヤンソング(トロット) TAIHEI 56174-A
15.ブリュープレリュード ミッキイ松山 ハヤイヤンソング(ブルース) TAIHEI 56174-B
16.山の人気者 リチャードユアサ ダンスミュジック(トロット) SHOCHIKU S 95-A
17.戀人よ!永遠に(アメリカ民謡)  CHU & HIS COLLEGEAN ダンスコーラス(FOX TROT) AUGON A42-B
18.貴女と二人で ブルーボーイズダンスコーラス AUGON A 227-B
19.谷の灯ともし頃 藤谷一郎 流行歌 NIPPON 329-A
20.私と月だけ レゾリュート號ジャズバンドジャズソング  PARLOPHONE E1069-A
21.ヴァーシティー・ドラッグ レゾリュート號ジャズバンド ジャズ PARLOPHONE E1069-B 
22.コロラドの月 原田誠一 ほうがくれこーど 8293
23.谷間の灯ともし頃 日立二郎 原田誠一 ほうがくれこーど 8291
24.Business in Q(或る街の騒音) Cherryland Dance Orchestra FOX TROT CENTER E1007-A
25.Two Loves(二つの戀) Cherryland Dance Orchestra SLOW FOX TROT CENTER E 1007-B


DISC-4
服部良一もうひとつの遺産 Far East Suite

1.カスタネットタンゴ 藤川光男 タンゴ CRYSTAL 2008-A
2.夜の濱邊 北村季久江 タンゴ CRYSTAL 2008-B
3.月のデッキ 志村道夫 流行歌 CRYSTAL 2012
4.僕等のハイキング 志村道夫(合唱付) 流行歌 CRYSTAL 2002-B
5.水郷の唄 水野喜代子 寶塚キネマ映画 主題歌(トロット) TAIHEI 4054-A
6.水郷の唄 大山利夫 寶塚キネマ映画 主題歌 TAIHEI S.102
7.希望の青空 橋本一郎 ミス・タイヘイ 流行歌(トロット) TAIHEI 56431-☽
8.虹は七色 水野喜代子 流行歌 COMET 30133-A
9.空を眺めて 結城浩 流行歌(トロット) COMET 30261-A 
10.島の名残り 川島信子 流行歌(スロートロット) COMET 30261-B
11.宵戀し マイ・フレンド 流行歌 NITTO 6509-B
12.さくらおけさ 浅草 美ち奴 流行歌 NITTO S1058-A  
13.想い出す時や 林伊佐緒 流行歌 NITTO 6773-B  
14.旅に見る月 林伊佐緒 流行歌 NITTO 6793-A 
15.別れた後は 村松道子 流行歌 NITTO 6793-B
16.海の子守唄 三上静雄 流行歌謡曲 NITTO 6490-A
17.戀の花咲く 川崎弘子 奥田英子  志村道夫 流行歌 NITTO 59025-A
18.東京さわぎ 小花 喜代丸 橋本一郎 流行歌 NITTO 59016-A
19.東京さわぎ 志村道夫 みどり 時雨千枝子 流行歌 NITTO 59016-B
20.うらゝか音頭 浅草 美ち奴 三上静雄 藤田不二子 流行歌 NITTO S1058-B
21.鹿児島小原良節 浅草 美ち奴 流行俚謡 NITTO S1192-A 
22.軍歌ポツポリー(上) 太平管絃楽団 指揮服部良一 管絃楽 TAIHEI 202-A
23.軍歌ポツポリー(下) 太平管絃楽団 指揮服部良一 管絃楽 TAIHEI 202-B
24.吹けよそよ風 タイヘイダンスオーケストラ ダンスミュージック(フォックストロット) TAIHEI 3971-A 
25.ふる里の丘 タイヘイダンスオーケストラ ダンスミュージック(タンゴ) TAIHEI 3971-B


MEMO ニッポンジャズ水滸伝 2018

本シリーズ(瀬川昌久監修)はこの国における舶来音楽・ジャズの初期受容に照明を当てて編んだ大衆音楽アンソロジーです。2011年から作業を開始し「三部作」を完結するまでにおよそ5年の歳月を要しました。本年2月、わたしはこのように綴りました。

本作はSPレコードに記録された戦前ジャズの覆刻です。わたしにとって、新しい音楽を制作することと過去の埋もれた音源を「覆刻」することは等価です。この二つの作業が車の両輪のようになって同時代音楽は牽引されていくとおもっています。SPレコードは単なる「懐古趣味」や「骨董蒐集」の対象ではなく、わたしたちが「現在」という時間をより深く読み解くための第一資料と解すべきでしょう。そう、「温故」はかならず「知新」に到らねばならない、そう固く信じて疑いません。いまからおよそ80年前、群雄割拠したマイナーレーベル梁山泊に集結した英雄好漢・有名無名のジャズエイジたちの物語はきっと、わたしたちの進むべき方向を掌を指すように示唆してくれるはずです。
2018.2.5

そしてさらに遡って、2012年5月に綴った拙文です。

天の刻。つくりかえよ、とジャズは言った。

この春、オフノート/華宙舎より久方ぶりの新譜を刊行する運びとなった。
ここで強調するまでもなく、昨今の音楽不況はさらに熾烈を極め、右を観れば廃業、左を向けば休業とインディーズ稼業も青息吐息のありさま。わがオフノートもひとり安穏で過ごせるはずもなく、ここしばらくは制作現場からも遠離り、思うように新譜をつくれぬ苦しみに昼夜呻吟するのみ。久しぶりに新譜が出ると言ってもちろん、慢性的赤字経営が解消したわけではさらさらなく、今にも落下しそうな低空飛行に気を弛める暇もない。だが「オレだけではない、誰にとってもいまは生きにくい時代なのだ」と自らに言い聞かせ励ましながら毎日をひらすら懸命に生きている次第。だからこそ、筆舌に尽くせぬ困窮の最中にあって久々の新譜を世に問うことができる喜びは大きい。しかも、満足のいく自信作ができたことが喜びをさらに相乗させるのか、この下ルンペンの暮らしぶりにもかかわらず、ほんの束の間、爽快な気分を満喫しているのだが…。

新たな詩人よ
雲から光から嵐から
透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ
宮沢賢治「生徒諸君に寄せる」1927年

なぜいま、『ニッポンジャズ水滸伝』なのか? ぼくたちが1920年代から40年代にかけての初期邦人ジャズを4枚組3巻のアンソロジーとして纏めるに到った動機を物語れば多岐に亘る。だが目的は明瞭にただひとつ。大正デモクラシーのただなか、ダンスホールやカフェを拠点に澎湃として湧き起こったニッポンジャズ創生期から太平洋戦争の激化に伴い、「敵性音楽」としてジャズが一旦中断されるまでの約20年あまり。この国におけるジャズ興亡史、その揺籃の瞬間から青春時代を丹念に記録することでもうひとつの近現代史はみえてくる。戦争・震災・経済不況・また戦争…と歩んだこの国の近現代史の谷間をひたすら健気に生き抜いた庶民の哀歓、有名・無名の大衆芸術家たちの心意気をこのアルバムに閉じこめよう。
さらに言えば、メジャーレーベルの音源を一切使わず、マイナーレーベルの音源ばかりを頼ってアルバムを構成しようとする暴挙にも相応の理由はある。ではなぜ、マイナー篇なのか?? この国のベルエポックを謳歌するかのように群雄割拠した無数の大衆音楽梁山泊を舞台に繰り広げられるジャズエイジ、市井の好漢たちのものがたり。そこにはついにこの国の大衆音楽史にはあらわれなかった生き活きとしたジャズの青春群像があり、いまから遡ること、およそ90年から70年前。その時点でおこなわれた試行と錯誤の連続こそ、今日の滔々たる大衆音楽の流れ、その底流を形成しているのではないか、そう考えたからにほかならない。
この国の戦後大衆音楽が洋楽一辺倒で突き進み、自らの歌声を喪って久しいこの地平にもういちど、夢魔の彼方から先人たちが奏でていた甘く淫らな自由な呂律を喚び戻すのだ。あまりに重苦しい重力の法則から「音楽」を解放すること。盲目な衝動から動く「世界」を美しい構成へと変えるために。そうだ、いつでも危機は契機。誰にとっても生きることが困難ないまだからこそ、この国の光と闇を一散に駆け抜けたジャズエイジたちのものがたりを描ききらなければならない。ゆえに「ニッポンジャズ水滸伝」。ぼくたちはきっと、瀕死且つ最高の大衆音楽アンソロジーを編むことができるだろう。
第一弾たる本編『天之巻』ではタイトル通り、「ジャズ」という舶来音楽がこの国の大衆文化とその担い手たちに与えた「天啓」とも言える絶大なインパクトがどのようなものだったかをつたえようと心懸けた。
DISC-1と2にはジャズソングとインスト音楽の名演・迷演を選りすぐり、それぞれ収めた。歌唱と器楽演奏を通して聴くことでニッポンジャズの原基がくっきりと浮かび上がるだろう。DISC-3では陋巷から生まれたプリミティブな「書生節」とその対極にあるモダンな舶来「ダイナ」の対置の中から、この国の大衆文化、モダンニッポンのパースペクティブを抽出することを試みた。さらにDISC-4では邦楽とジャズが合体した元祖フュージョンミュージックを収録。まさにファーストコンタクト、異文化間の出遇いの記録。異種交配のサンプルを示すことで、この国におけるジャズの受容がどにようになされ、ひいてはこの国の大衆文化がいかに醸成されていったかを具に考察した。
本編を聴いてくれたキミはどのように感じただろうか。ともあれ、ぼくたちはアルバム全体を通してかつての先人たちの営みに想いを馳せ、この国の大衆文化、百花繚乱の青春の一端なりとも活写し得たとおもう。本編をぼくと等しく困難な時代に「インデペンデント」を志し、いまこの瞬間も悪戦苦闘をつづける同志たちと現在と未来に出遇うだろう音楽を愛するすべての友人たちに捧げたい。
最後に予告である。本アンソロジーはさらにつづく。次回「地之巻」ではジャズが育まれた市井陋巷にさらに奥深く岐け入る。ダンスホール、カフェ、劇場…、雑多な人々が渦巻く混沌の中から「自由」を前触れる鼓動はどのように高鳴っていったのか、をルポルタージュしよう。そのあとに待っている「人之巻」では、この国のジャズエイジを彩った有名・無名の好漢たちの銘々伝を繋ぐことでさらに“大きな時間”を描き出せたら、とおもう。そして、ぼくたちのものがたりは「ジャズ水滸伝」から「ポピュラー三国志」へと継走してさらに先へ急ぐだろう。過去と未来を繋ぐ音楽をさがす旅路は一向に終わりそうにない…。
2012.5.(TRUSH UP 転載)

「天の時は 地の利に如かず。 地の利は人の和に如かず。」
この言葉は天・地・人の三拍子が揃わなければ物事の成就は為し得ないことをおしえてくれていますが、さらに音楽が起こり・広まり・定着してゆく「与件」をもつたえてくれているようにおもえてなりません。この不変の真理に従えば、わたしたちにできることはまだまだありそうです。「音楽の与件」を踏まえて「予見の音楽」に突き抜けること。そのひとつの道標として本作をお手元に置いてお聴きいただければ制作関係者の一人としてこれ以上の喜びはありません。先に逝った友が残してくれた言葉、「まだ避けられる未来を見つめる目を鋭くし得るものは回想である」と。与えられた猶予をただひたすら過程に奮迅して斃れて熄めばそれでよし。せめてその間は出たとこ勝負のアドリビトゥム「ジャズ的」にいきたいと希っています。本アンソロジーに登場するジャズエイジ、市井の好漢たちのように。 

2018.8.29 神谷一義(華宙舎同人)

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ジャズ。いま、この陋巷の淫楽を聴け。「ジャズ水滸伝」3部作第2弾。時刻は大正期。大阪の巷にジャズの歌声は沸き起こる。道頓堀の川面に映る赤い灯、青い灯に照らされながら、河合ダンス團・赤玉ジャズバンド・松竹和洋合奏團…、ジャズは旅する。やがて東京、巴里ムーランルーヂュ。時代を跋扈したジャズエイジ達の跫音が鮮やかに甦る。全102曲 豪華120頁ブックレット付。監修:瀬川昌久

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