記忘記 note/off note 2021-10-23
ずんばらりん
本作は鈴木勲と原田依幸・二人の天才音楽家「再会」の記録です。二人のファーストンタクト・初共演は1995年極月大晦日のアケタの店での年越しライブ。そのときのDUOは幸運にも「出会いの記録」として『六日のあやめ』という収録時間20分ほどのミニアルバムにまとめることができました。本作は出会いから10年を経たふたたびの邂逅。今回は前回と異なり、ライブ収録ではなくスタジオ収録を選びました。その際、お二人が演奏する前にかならず短い打ち合わせをしていたのがとても印象的でした。とはいえ、お二人が交わしたのは「短めに」とか「今度はちょっと長めにいこう」とか「最初だけ静かにやってみようか」というごくさりげないものでしたが。それはちょうど、時代劇の役者が本番前に殺陣(タテ)を確認する作業に似ているように感じられたものです。とまれ、本作は二人の天才音楽家がそれぞれの身体の記憶の堆積をまるごとぶつけるように挑みかかり、一瞬の間合いで詰め・斬り結ぶ緊迫の真剣勝負を通して、出会いから再会までの互いの時間を確認し、その「空白」を一気に埋めるようにしてなりました。録音終了直後の鈴木勲さんの満面の笑顔は今でも忘れられません。本作に記録された二人の音楽家が繰り広げる身体の記憶のドラマをあなたの五官・第六感を総動員して心ゆくまでご堪能くださいますよう。どうぞよろしくお願いいたします。2021.10.23
2021-10-24 07:15