振り向いた
物語の始まり
エミグラント 夢の隊列
未生の音群
「遠い異国の港町」へと
消えて行く
日本フォークロック史上燦然と輝く伝説の名バンド“はちみつぱい”のボーカリスト・渡辺勝。
停滞するジャズシーンを震撼させ続けた超弩級ユニット“フェダイン”のフロント・川下直広。
リズムの限界をさらに乗り越えてグルーヴするトライアングル“サイツ”の迎撃手・船戸博史。
独特のビート感で、梅酢和時はじめ、猛者たちも絶賛するオキナワの新進ドラマー・城間和広。
南海の律動で黄金期の山下洋輔トリオを支え、退団後もさらに進化し深化し続ける・國仲勝男。
ジャンルを越境し集結した五人の猛者どもが沖縄を舞台に繰り広げるハードボイルドな音世界。
2002年作品
マサルの音楽はどこか曖昧でゆらりと浮かんでくるが、驚くほど潔く広大だ。
他人の主題を邪魔せぬよう、混乱の雑踏を擦り抜ける素浪人のように身をかわしながらマサルは生きてきた。
マサルは大人の孤独を包み隠すことのできる達人である。
三上寛
Disc-1.radio emigre
1.冬の朝
2.土埃
3.金魚
4.東京
5.ラヂオのように-instrumental-
6.昼間から夢のようさ
7.ぼくの手のひらの水たまり
8.逢てよかった
9.ぼくの家
10.夜は静か通り静か
Disc-2.ghost story
1.立ち止まった夏
2.闇に浮かんだ50の音
3.あなたの船
4.君をウーと呼ぶ
5.ゴースト-instrumental-
6.ラストヴァージン
7.「アムステルダム」によせて
8.Truth
9.チャーリーのバー
10.僕の倖せ
11.夜は静か通り静か
Live in Okinawa 25 & 26th feb 2001 at GROOVE
EMIGRANT :
渡辺勝 Vocal, Guitar, Piano
川下直広 Tenor & Soprano Saxophone, Electric Violin
國仲勝男 Oud, Electric Bass
船戸博史 Contrabass
城間和広 Drums
ライナーノーツ:渡辺勝、神谷一義
[試聴]
Disc-2-1.立ち止まった夏:
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■ 商品説明
説の“はちみつぱい”のボーカル・渡辺勝。停滞するジャズシーンを震撼させ続けるフェダイン”のフロント・川下直広。叛乱するグルーヴ“サイツ”の迎撃手・船戸博史。独特のビート感で猛者たちも絶賛する新進ドラマー・城間和広。黄金期の山下洋輔トリオを支え、退団後もさらに深化し続ける・國仲勝男。世代を越境して集結した五人の猛者どもが沖縄を舞台に繰り広げるハードボイルドな音世界。
■ 商品仕様
製品名 | 未生音 pre live / エミグラント |
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型番 | non-17 |
JANコード | 4571258152170 |
メーカー | オフノート |
製造年 | 2002年 |
MEMO 未生音 2018
2001年、オキナワでおこなった二日間のライブの模様を収めた作品。ここに集結したジャンルも世代も拠点も異なる5人のエミグラントたち。思えばこれほど不思議な集いもないだろう。渡辺勝は東京から、川下直広は福岡から、船戸博史は京都からやって来て、そこに地元オキナワの城間和広が合流し、それまで一所不在だった伝説の音楽家・國仲勝男まで加わったのである(なんて非効率なんだ!)。ゆえに、この編成はけっして「バンド」とは呼べない、一個の音楽家の集合なのだとおもう。ならば、一夜かぎりのジャムセッションか、と問われれば、それにもまた素直に頷くことができない。なぜなら、当の音楽に意志が宿り、カタチを変えながらもエミグラントたちの「夢の隊列」は熄まずに延々とつづくことになるのだから。だが、ここで肝心なのは「容れもの」ではなく、「中身」の音楽であるはずだ。わたしはかつて、本編の主役・渡辺勝の紡ぐコトバのありようと、ここで実現した音楽の連関性についてこう綴った。
ことばとコトバを繋ぐもの。彼の詞にはいつも何かが足りない。ことばはコトバへ至る中間でいつも宙吊りのままだ。コトバの領域。意味を超えた場所。其処こそ彼が紡ぐ詞が渇仰する「響和国」だ。ことばたちはきっと安住の地に辿り着きたくて幾度も飛越を繰り返すが、ずっと向こう。それでことばたちはいつも宙吊りのまま歪な格好を強いられ、アクロバットな様相を呈するのである。
「響和国」にいとも容易く辿り着ける空想の翼。それが音楽である。今度の楽旅は彼のことばに宙天を自在に飛び廻れる空想の翼を与えたのだろうか。夢の隊列。ことばは連なりながら一目散にあの場所へと向かう。そう、なつかしいあの場所へ。そうだ、オトとコトバが響き合うモノガタリへと昇華しながら。
(ライナーより一部抜粋)
そう、ここで最も重要なことは云うまでもなく、個々の邂逅を超えた「コトバ」と「オト」の出会いであったのである。「未生音=未だ生まれざる音」という発語には、未來に向かって獲得される「音」というより、原初の記憶の底にある言葉ならざる「言霊」や「響き」が多分に含意されているはずだ。「コトバ」と「オト」が異化しながら提示される大きな時間「時の刻」。それこそ、わたしたちが最もあらわしたかったことにちがいない。だとしたら、音楽はけっして終らない。生まれるべきときを待って、夢幻の裡に形ならざるカタチの変転を繰り返し繰り返しているのかもしれぬ。 2018.1.24